中米と南米はごっちゃにされやすい?(インディ・ジョーンズの感想を兼ねます)

自分はペルーに住んでいるのですが、日本の知り合いから時々「ペルーってどこ?」なんて聞かれることがあります。
私も昔はペルーに、というか中南米に関心がなかったのでどこにあるのか、ちゃんとは知りませんでした。

そもそも、中南米の国はみんな一緒で、スペイン語を話し、なんとなく陽気で、サッカーが好きなんだろうくらいのイメージしかありませんでした。
ですから、中米と南米が一緒くたにされているのを見ても、別にあまり不思議ではない感じがします。

先日、Livedoorのサイトでこんな間違いを見つけました。

 

ヘッドライン(っていうのかな?)では「出会い系の女性殺し溶かす 南米」と書いてある記事があったので、もしかして私が住んでいるペルーなのか?とドキドキしながら開いたら、実はメキシコの事件でした。
海外系のニュースを扱うサイトで、まさかのメキシコを南米扱いしているんですね。
メキシコは地理的に言えば北米大陸ですし、文化政治経済的に見たら中米の仲間と言えるかもしれませんが、南米ではありえないですよね。
Wikipediaによればメキシコははっきりと北アメリカ扱いですね。)

ということで、ニュースサイトですらこんなですから、私たち一般人ではなおさらですよね。

 

こういう中米・南米の混同は地球の裏側の日本だから起こることかと思ったら、そういうわけでもないようですね。
というのは、あの大人気を博したハリウッド映画「インディ・ジョーンズ」シリーズを見た時に、アメリカ人も思いっきり中南米を混同していると感じたのです。

 

「レイダース/失われたアーク」での中米・南米の混同

最初に言っておきたいのですが、混同を指摘して映画を悪く言うつもりはありません。
別に設定が正しいから面白い映画だというわけではないですしね。
映画を実際に見たら結構面白かったですし。

さて、前からインディ・ジョーンズ(Indiana Jones インディアナ・ジョーンズ)シリーズは全部見てみたいと思っていました。
だって、一説によればインディアナ・ジョーンズのモデルとなった実在の人物が、あのマチュピチュ遺跡を発見した探検家のハイラム・ビンガム3世だと言われているからです。
この説が本当であれば、レイダースの最初のシーンでペルーが登場するのも納得ですね。
(2017年始の休みを利用してインディ・ジョーンズ全4作を鑑賞しました)

 

 

この「レイダース」の冒頭のシーンは、「同じ重さの砂袋」とか「大きな丸い岩が転がってくる」など、インディ・ジョーンズシリーズの遺跡のブービートラップの代表的なシーンとして有名ですね。
映画上では「1936年 南アメリカ」とだけ表示されますが、いろんな資料によるとペルーの「チャチャポヤの戦士の神殿」ということになっています。
そして、有名な黄金像ですが、「チャチャポヤの豊穣の女神」であるパチャママを表すとされています。

さて、この像についてちょっと検証してみたいと思います。
まず、ペルー北部には実際に「チャチャポヤス」という町が存在します。(チャチャポヤではなくチャチャポヤス)
そして、チャチャポヤス近くにはプレインカ(インカ帝国以前)の文化が反映していました。
またシカン文明、シパン文明というペルー北部に興った文明は黄金文明としても有名です。

ですから、一見して、このチャチャポヤスの黄金像はちゃんと調査された設定のように思えますね。
しかし、チャチャポヤスのプレインカの文明において「パチャママ」というケチュア語の女神が登場するのは違和感があります。
また、パチャママは母なる大地を表す語ですが、女神として像が作られたり、絵を描かれたりすることはありません。
でもこれくらいの矛盾は細かいことですので、流すことができます。

ここで取り上げたいのが、この黄金像のモデルになった実在する彫刻です。
それがこちら。

 

この像は「Dumbarton Oaks birthing figure」とよばれるもので、発見当初はアステカ時代の彫刻であるとされていましたが、使われている石の種類や、類似したデザインがアステカ時代の他の彫刻に見られないことから19世紀に造られたアート作品だと思われます。
デザインのモチーフはアステカの大地の女神「トラソルテオトル」(Tlazolteotl)です。
インディ・ジョーンズの黄金像はかなりデフォルメされているものの、オリジナルの彫刻の要素である「しゃがんで出産していること」や「口を開いていること」、髪型などすべて真似てデザインされたことが分かります。
この石の彫刻はアステカがモチーフであるのに対し、インディ・ジョーンズの黄金像はペルーのものという設定です。
ですから、インディ・ジョーンズの黄金像をデザインした人はペルーとアステカ(中米)を混同していたということが分かりますね。

 

「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」での中米・南米の混同

 

さて、インディ・ジョーンズシリーズ第4作の「クリスタルスカルの王国」では「レイダース」よりもさらにペルーがフィーチャーされています。
「つまらなかった」という酷評も目立つ本作ですが、個人的には楽しかったですよ。

でも、ペルーがらみの矛盾点をちょっと取り上げますね。(しつこいですが映画を悪く言う目的ではありません)
まずインディーがペルーに飛行機で移動するシーンがあるのですが、地図が登場するシーンではインカの首都であるクスコに移動しているというテロップが出ます。
しかし、その後ナスカの地上絵のシーンを挿み、シーンはナスカ空港に移ります。
このシーンを見る限り、クスコにナスカの地上絵とナスカ空港がある様に錯覚してしまいますね。

また、ナスカ空港にてインディが現地の人と会話しているシーンがあるのですが、インディの息子マットは自分のスペイン語がここでは通じないとインディに言います。
するとインディはインカの言葉である「ケチュア語」で現地の人と話したと言います。
しかし、ナスカはケチュア語が話される地域ではありません。
現在でこそケチュア語を話す移住者がナスカ近辺にも住んでいますが、映画の設定の時代でもほとんどの人はスペイン語を話したはずです。

その後、インディは黄金を求めてペルーにやってきた「オレリャーナ」の墓をナスカにて探すことになります。
この「オレリャーナ」は恐らく「フランシスコ・デ・オレリャーナ」(Francisco de Orellana)のことでしょう。
スペインから南米にやってきたオレリャーナはこの人以外考えられません。
オレリャーナはもっとも有名な征服者(コンキスタドール)である「フランシスコ・ピサロ」と共に、ペルーのインカ帝国を滅ぼした人です。
そして、アマゾン川をペルー側から反対側まで航海し、そこで亡くなったことが知られています。
ですからナスカに彼の墓があるはずがありませんね。
ですが、この辺も細かいことなのでいいでしょう。

取り上げたいのは、ナスカからペルーとの国境近いブラジルのアマゾン川地域であるイリャ・アラマカ(Ilha Aramaca)に移動した後のことです。
その後、クリスタルスカルを元の場所に戻すため、インディ一行はアケトー(もしくはエル・ドラド、黄金郷)に向かいます。(多分アケトーというのはAkakorのことだと思います)
その途中でピラミッドを通るのですが、そのピラミッドの形がまるで「チチェン・イッツァ」に代表されるメキシコにあるマヤ、アステカのピラミッドにそっくりなのです。

映画上ではペルー国境近くのブラジルのジャングルのど真ん中なはずなのですが、メキシコのピラミッドがそこにあるのです。
ちなみにチチェン・イッツァはこんな感じです。

もしくはグァテマラのティカル遺跡の神殿の方が似てるかな?

 

いずれにしても、南米にはこういうスタイルのピラミッドはありません。
ここでも中米と南米をごっちゃにする傾向があることが分かります。

 

結論

日本に限らず、アメリカでも中米と南米が、もしくはマチャ・アステカ文明とインカ文明などの南米の文明が混同されているというのが、暴論ながら分かりました。
でも、客観的に見て混同されるのも無理はないかなとも思います。

私個人としては、中南米がもう少し発達し、国際社会に存在感を持ったら、「混同するな!」と言えるようになるのではと思いますね。
とりあえず、インカとマチュピチュがペルーということだけは覚えておいていただけると嬉しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

脱サラしペルーに移住。
仕事と趣味にのんびりと生きる。

投稿者: Jorge

脱サラしペルーに移住。 仕事と趣味にのんびりと生きる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。